好きって言えない

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それからしばらく幸せな時が続き、そして夏休みに入った。 インターハイの予選で負けたお兄ちゃんは、冬の選手権を待たずに、一足早くサッカー部を引退して、勉強に励むことになり、塾に通うことになった。 でも、一日中塾に通ってる訳じゃないんだから、夏休みは結構一緒に過ごせると期待していたのに、何とお兄ちゃんったら、バイトを始めてしまったのだ。 大学の入学金と学費を、うちのお父さんが出してくれることになったので、せめて仕送りはしてもらわなくて済むようにって言いだしたのである。 お父さんはそんなに無理をして、現役で合格出来なくなったら良くないから、勉強を優先するようにって言ったのに、お兄ちゃんときたら聞き入れなかった。 実際今まで部活三昧で、ほとんど授業以外の勉強をしていなかったのに、常に成績はクラスのトップだったから、相当頭は良い。 ぜひとも爪の垢を煎じてプレゼントしてほしいよ。 私なんて一生懸命頑張っても、平均点50点くらいしかいったことないのに……。 バイトと塾の合間に、私の勉強を見てくれる日々。 夏休みに入ってずっとそういう状況が続いていたから、私は大きな勘違いをしていた。
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