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その後はほとんど勉強が頭に入らず、時間が来てお兄ちゃんはバイトに行ってしまった。
一人残された私は、バカみたいに落ち込んで、何もする気が起きず、ただ時間だけが過ぎていく。
夕方になって、夕飯の材料を買いに出かけた。
ママが仕事から帰って料理をしてくれるんだけど、一応私が言われた食材だけを買い物しておくことになっているのだ。
この時間になっても、一向に気温は下がらず、少し歩いただけで汗が噴き出してくる。
明日お兄ちゃんは、沙耶先輩とデート。
そう思ったら気が狂いそうなくらい辛い。きっと私って、今ヒドイ顔をしてるに違いないだろう。
「はぁ……」
またため息が出た。
何でこんなに好きなんだろう。好きになっても報われないのに……。
一緒に暮らしてなかったら、きっとここまで辛くないのかな……。
お兄ちゃんが家を出るまで後半年。
別々に暮らし始めたら、こんなに苦しくはなくなるのだろうか?
分からないけど……。分からないけど、今はただ……。
誰にも内緒でこの気持ちを胸に仕舞い込み、ひたすら耐え忍ぶしかないのだ。
だってそうしないと、せっかく幸せになったお父さんとママに申し訳ないから……。
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