好きって言えない

58/58
前へ
/59ページ
次へ
「でも、一緒に暮らしだして、そしたらどんどん好きになっていく自分がいて、でもお父さんやママのことを思ったら、絶対に好きになっちゃいけなくて……」 「季菜……」 「大丈夫だからママ、私ずっと妹でい続けるから、大丈夫だから」 「ごめんね。ごめんね季菜」 「謝らないで、ママは何も悪いことしてない。お父さんは今、ママのお蔭で幸せだよ。私もママのお蔭ですごく楽しいし、だから……。大丈夫だから、絶対これ以上好きにならないから」 「季菜……」 「ずっと家族でいたいから」 「うん。ママもずっと季菜と家族でいたい」 「ママ……大好きだよ」 「ママも季菜のこと、世界で一番大好き」 ママにキツク抱きしめられた。 ――ごめんねママ。好きになっちゃダメなことは分かってる。諦めなきゃって思ってる。 だけど…… きっと私の片想いは、これからもずっと続いていくと思う。 だけど…… いつかきっとお兄ちゃん以上にカッコイイ人を見つけるから。 だからママ、今はごめんなさい。 抱きしめられている私は、ママの背中に回した手にギュッと力を込めた。 永遠に両想いになることのない私自身を、強く抱きしめるように……。 完 ご愛読有難うございました。
/59ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加