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「スマン!」
いきなりお父さんが頭を下げる。
「えっ、何で? 何で謝るの?」
「いや、あの、その……」
「デートだったから?」
「うん。まぁ、あの……オマエはお母さんっ子だったから、いや、その……」
「なぁーんだ。全然気にしないのに」
「え?」
「お父さんさぁ、まだ四十歳だよ。若いんだから再婚してもいいんだよ」
「えっ、オマエは良いのか?」
「お母さんはお母さんだよ。お父さんが再婚したとして、私に新しいお母さんが出来たとしても、私には私のお母だけがお母さんだし、一生お母さんのことは忘れない。でも、お父さんが再婚して新しいお母さんが出来たとしても、きっと上手くやれると思うし、それに家事をしてもらえるんなら、私だって助かるし」
「そうか。ずっとオマエに家事を押し付けて、そのせいで部活動も出来なかったから、本当に申し訳ないとずっと思ってて……」
「うん。まぁ、正直家事は苦じゃないけど、でもしてもらえるんなら助かるし、それでどんな人?」
「いや、あの……まだ全然そこまでの関係じゃないんだ。何度か食事に行っただけで」
「えっ、そうなの? なぁ~んだ。でもさぁ、お父さんもまだ若いんだし、応援してるよ」
「ああ、有難う」
照れくさそうに笑うお父さんを、生まれて初めて何だか可愛いと思った。
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