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ワシの名前は、酒本涼馬ぜよ。
ワシとは言っておるが、一応高校生やきに。
音だけ聞くと、歴史上の有名人の名前に聞こえるけん、初めて会った人には、冗談じゃと思われるんが、昔からの悩みじゃきに。
この喋り方は、ちっこい頃から近所では有名じゃったきに、よく坂本龍馬の真似をさせられたけん、自然と身に付いたぜよ。
「見て見て、雲が綺麗だよ!」
…このいけすかん男は、松笠推賢(まつかさすいげん)と言う名前で、何故かワシの親友を自称しとる男じゃきに。
携帯小説の、異世界チート小説に出てくる、勇者(笑)みたいな男じゃと言えば、解るかのう?
「…ワシに話し掛けるな、偽善と鈍感が移るぜよ。」
「失礼だな、俺どっちでもないよ?…折角の修学旅行なんだし、もっと楽しめないの?」
ほんま、誰のせいでワシが楽しめんと思うとるがじゃきに。
どうせ、むこうでも面倒ごとに首突っ込んで、ワシを巻き込むばかりか、自分だけフラグ建ててまた美人に惚れられるがじゃろう。
一言で言うと…「リア充はぜろ!」じゃのう。
「一体何!?珍しく標準語喋ったと思ったら、いきなり誰かを罵倒!!??リア充って誰の事?」
チッ、声に出とったか。
まあいいぜよ、こいつに聞かれてもどうにもならんきに。
キンコンカンコーン
「まもなく、着陸体勢に入ります。携帯等の電源をお切り下さい。」
「皆、ベルト締めとけよ!!」
隣から、とは反対の隣から、先生の声が聞こえてきたきに。
言い忘れとったが、今は修学旅行中で、沖縄行きの飛行機の中じゃきに。
ああ、しかしコイツはほんまどないもならんきに、沖縄で異世界召喚陣にでも巻き込まれてくれんかのう?
勿論、ワシを巻き込まずに。
…まあ、そんな漫画みたいな事ある訳無いぜ…
ベキッ
バキッ
ドンッ
…はっ???
今何が起きたがぜよ?
いや、起きた事は解るきに、椅子が壊れて、座る部分が落ちて、その上で床も抜けたがぜよ。
問題は、何故こんな事が起きたかやけんど…そんな事言っとる場合じゃ無いきに!落ちんよう捕まらんと!!
だから、ワシは落ちる前に、手を伸ばし床を掴もうとする。
ガシッ
「大丈夫か!?すぐ助けてやるからな!!」
偽善者が、ベルトを閉めそこなったのが幸いしたか、ワシの手を掴むことが出来たぜよ。
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