通学路2丁目の王子さま。

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「いいか、俺についてこいよ?」 コクコクッと、頷く。 顔見られてたまるか! 「…会いたかったよ!!」 ぎゅうっと私を抱きしめながら、女の子集団にも聞こえる声で言う。 …そこからか!! 「わ、私も!!貴方に会いたかった!」 「どうして今まで連絡くれなかったんだ!!」 え!えっと… 「も、モンゴルにいたの!!どうしても相撲で強くなりたかったの!!」 「…僕のために…なんてことを!」 本当に辛そうな声に私も釣られる。 「いいの。私、貴方のためなら辛い修行だって…!」 「っ好きだ… もう離さないっ!!」 「私も!貴方の廻し(まわし)から手を離さない!」 「さあ行こう…新しい指輪でも買いに…もう逃がさないよ。」 「いいわね…ちょうど新しい廻しが欲しかったの。」 女の子集団から背を向けて、私の肩を抱く。 そして私の膝裏に手を入れてお姫様だっこを… 「お姫様だっこ!?」 焦る私をよそに、ダッシュで駆ける。 怖い怖い! 後ろでは女の子集団が 「モンゴル…?」 「まわし…?」 「相撲…?」 と、ざわついていたのを私は知らない。
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