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「あんた、誰だよ」
色々と言いたい事はあるが、有り過ぎて困った黒髪の青年は取り敢えずそれだけを聞いた。既にある程度の予想が出来ている。内心ではラッキー! とはしゃいでいるが、表には出さない。
黒髪の青年の内心は、実は金髪の青年に筒抜けである。流石にまだ死んだショックが抜けきらないのか、そっち方面の知識がある黒髪の青年はその事に気付かず、頭の中が面白い事になっている。幾つかの言葉を抜き出そう。
『神なんだろ? 紙とかいう神なんだろ? ほら言っちまえよ』
『異世界俺TUEEEEフラグキタコレ』
『美女・美少女とのうはうはハーレムライフの幕開けだ!』
『イケメソに、俺をイケメソに!』
実に愉快である。しかし、決して顔には出さない。金髪の青年としてはやらかした後始末であり手早く済ませたいのだ。よって、事務的に、簡潔に、分かり易くを意識して言葉を選んだ。
「俺はただの管理者だ。お前は運命が狂い、死んだ。よって、例外的にだが記憶を引き継いだまま転生してもらう」
一からのやり直しであれば、記憶を引き継がせ、黒髪の青年として、そして新たに転生したものとして死んだという事実が生まれる。自然に死ななかった事が問題である為、記憶を引き継がせて転生させ、自然に死なせれば万事OKなのだ。要は自然に死んだという事実さえあれば問題ないのである。
そして自分のせいで死んだ事を隠したのは出来るだけ隠蔽したいからだ。バレたら色々と大変になる。立場的な問題で。
金髪の青年の返答に、黒髪の青年はきょとんと阿呆面を晒した。予想していた答えと違い、どう処理すればいいのか困惑しているのだ。
「へ? 神じゃないの?」
「神とは人の信じる心と想いから生まれる存在だ。人の数だけ神が居るとは言わないが、お前が居た世界には数千万の神が居る」
「多っ! キモっ!」
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