ないしょの素顔

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「………、え?」 ナオさんの言葉を頭で繰り返す。 私が思ってる理由と一緒、って。 私は、ナオさんの素顔は私だけのひみつにしておきたいから。 だからメガネを外さないでって言って。 それって…。 何かひとつの答えが出そうになった瞬間、 「あ。ナオとりっちゃんだー、お疲れー」 私たちに向かって、声がかけられた。 顔を上げると、そこにいたのはタケさん。 バイトの先輩だ。 タケさんは高い背を折りたたむようにして私の顔を覗き込んだ。 「りっちゃん、今日はコンタクトなんだ。 前に寝坊した!って言ってた時はメガネだったよね。今日は起きられたんだ?」 にこにこ笑顔のタケさんにつられて、私も笑顔で口を開きかけると。 ふっ、と。 いきなり視界がぼやけて歪んで見えなくなった。
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