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おかしい――
男女合わせて二十人は集った中学のクラス同窓会で、幸枝は、今隣のテーブル席の中心で微笑んでいる真利子を睨むように見詰めていた。
「真利子、明るくなったと思わない?」
挨拶周りから戻ってきた美佳が、いつも通り同意を求めるような問いをした。
真利子が明るくなった……?
しっくりこない。
「うん」
でも、幸枝もいつも通り美佳に同意する。
確かに、真利子は、あたしなんかよりも暗くて、影が薄かったはずだ。
幸枝が、あまり良い思い出のない中学の同窓会に出席する気になったのは、今でも連絡を取り合う美佳がいることと、真利子も参加すると聞いたからだった。
真利子なら、きっと卒業して十年経った今でも、平凡よりも少し上向きの自分より下にいるのだろうと心のどこかで見下していた。
見下せると、そう思っていたのに。
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