SS2【微笑む女】

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 電車で一駅、改札から歩いて五分ほどのところに、そのカフェはある。  正面は大きなガラス張りで、外観からも陽の光を無駄に浴びて、明るそうだった。  改札前で待ち合わせかと思えば、現地集合。  それも、なんとなく真利子が主導権を握っているようで、嫌だった。  気が重いまま、幸枝はカフェのガラス扉を引いた。 「幸枝、遅ぉい」 「美佳?」  中に入れば、真利子と向き合って美佳が座っていた。 「ちょっとしたサプライズ成功」 「そうね」  目を丸くする幸枝に、美佳はにかっと笑い、真利子は微笑んだ。 「こっち来て、座って。何頼む?」 「これ、このベリーケーキ、気になってるんだよねぇ」 「幸枝ちゃんと一緒に頼めば?」 「うぅん、これ以上食べたら太りそう」 「どこも太ってないじゃない」 「じゃあ、あたしのお腹見る? もぉすっごいよ?」 「そんなこと言って」  そろりと真利子の横に腰かける幸枝の前で、ふたりはずっと前からの親しい友人のように話していた。 「あ、幸枝ちゃん、ごめんね。メニュー見えないよね?」 「ううん、あたしはコーヒーで」 「えぇ? つまんないよ」 「幸枝ちゃんがそれでいいんだから、いいじゃない」
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