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電車で一駅、改札から歩いて五分ほどのところに、そのカフェはある。
正面は大きなガラス張りで、外観からも陽の光を無駄に浴びて、明るそうだった。
改札前で待ち合わせかと思えば、現地集合。
それも、なんとなく真利子が主導権を握っているようで、嫌だった。
気が重いまま、幸枝はカフェのガラス扉を引いた。
「幸枝、遅ぉい」
「美佳?」
中に入れば、真利子と向き合って美佳が座っていた。
「ちょっとしたサプライズ成功」
「そうね」
目を丸くする幸枝に、美佳はにかっと笑い、真利子は微笑んだ。
「こっち来て、座って。何頼む?」
「これ、このベリーケーキ、気になってるんだよねぇ」
「幸枝ちゃんと一緒に頼めば?」
「うぅん、これ以上食べたら太りそう」
「どこも太ってないじゃない」
「じゃあ、あたしのお腹見る? もぉすっごいよ?」
「そんなこと言って」
そろりと真利子の横に腰かける幸枝の前で、ふたりはずっと前からの親しい友人のように話していた。
「あ、幸枝ちゃん、ごめんね。メニュー見えないよね?」
「ううん、あたしはコーヒーで」
「えぇ? つまんないよ」
「幸枝ちゃんがそれでいいんだから、いいじゃない」
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