11月_

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「表裏一体」-11 白い世界に憧れを抱いた そこには何もなく、誰もおらず、誰も知ることがない場所だから 誰も知らないそこは、近づこうとすればするほど遠ざかり 遠ざかるほどに白さを失っていった 憧れを抱いたその場所を黒く塗ってしまったんだ 黒い世界に希望を求めた そこには何でもあり、誰もおらず、知らないことを無視できる場所だから 知らないことも消せるくらいに、近視のままでいられる 近視になればなるほど、その世界の黒は濁っていく それすらも分からなくなれば、黒を黒と認識できなくなる やがてそこを、白と呼ぶようになる 「どれだけ白と呼んだとして、ここが黒であることに変わりはない」 誰でもない「誰か」が言う それから、 目をひらいた世界を白と呼んだ
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