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「雨と色、海と空」-28
雨が降っている
ザーザーと、たまにポツポツと
雨、と一つに括られるのに、そう指されるそれは数えることができない
その一粒一粒に大きな意味がないからなのか、
または別の理由からなのか
その一粒に込められたものが、他の人には判らないからなのか……
降った雨が地にあたると、地に色を足していってくれる
それがどんな色をしていて、どんな色を残していくのかはわからない
だけど確かに残していく
誰かにとっては赤い色、別の人にとってはまた違う色
色は確実に地を覆い、もしかすれば地を見えなくしてしまう
覆い尽くされたその地を、誰かは領地と呼ぶのだろうか?
真っ平らに見えるそれは、丸くなっているとは気づきにくいのだろう
雨だったそれらは地を伝い、やがて海へとかえっていく
そうやって海を豊かにしていく
そうやって海を豊かにしてきた
豊かになった海からまた雲が生みだされる
そしてまた雨になり、地を覆い、伝い、海にかえる
それは、誰もが知っていて、誰も知っているはずのない巡り合わせ
この世界はとても複雑で、それでいてシンプルなものだと思う
例える題材は何処にでもあるのに、誰もが共感するわけではない
もしかすれば、何処にでもあるからこそ、一貫して共有できないのかもしれない
ここもそうであるように
自分の知る地を中心に巡るのは、とても当たり前のことなんだと
そう改まる雨が、私の地に降りそそぐ
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