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本日は快晴。絶好の洗濯日和である。
しかし、今の桐也にはそんな事を気にしている余裕は無かったのだ。
「くそっ!完全に遅刻コースだ!」
愛車のマウンテンバイクに股がり家を出る。
何度も通いなれた道を立ち漕ぎで全力疾走し学校に向かう。
登校途中様々なアクシデントがありながらも学校の校門に着き、時計を見ると後一分あるかないかというところだった。
「遅刻だけは不味い!ゴリラに殺される!」
このゴリラと言うのは担任であり、その人の名誉を守るためにいうならば女性である。
桐也が自転車を駐輪場に置き、下駄箱で靴の履き替えをしている時に無情にもチャイムが鳴り響く。
「まだだ、まだ終わらんよ!チャイムがなり終わるまでが勝負なんだよ!」
そんなルールはないし、勝ち負けで言えばチャイムがなった時点で敗北が決定している訳ではあるが、三階にある己の教室に向かって走り出す。
「ギリセーフッ!おはようございま…あれ?誰もいねぇ。」
チャイムがなり終わるギリギリ前に教室に着いた桐也だったが、教室には生徒は勿論先生も居ない。
教室を見渡し、ふと黒板にかかっている文字が目にはいる。
ー臨時集会、体育館に移動ー
「…結局遅刻じゃねーか。あのバカ、何で集会あるって言わねーのかなぁ。後で殴る。」
自業自得なのに物凄い理不尽である。
「しゃーねーか。体育館にでも行こっかね。ドア開けるとあの視線が集まんのがやなんだよなぁ…」
ぶつくさと文句を言いながらも回れ右。体育館に向けて歩みを進めようかという時に、
トン…と、腹に違和感。
「…あれ。」
どうしたのかと自分の腹の辺りを見る
「…嘘だろ」
確認すると自分の腹に包丁のような刃物が突き刺さっている
「…ッ!」
今さらながらに激痛が襲う。
何故こんなものが、と顔を上げると一人の女子生徒が立っていた。
「お前は」
「死んで」
俺はその言葉を最後に俺は意識を手離した。
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