冷徹貴公子は嫌な奴

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月山薫の大学時代からの友人で、音楽大学の講師で、その上、協会の人間だったりする。 見た目は、眼鏡を掛けたインテリジェンスで、真面目な雰囲気を漂わせているのに、口を開けば、もうただのセクハラ眼鏡だ。 そして、同性愛者だという事を隠しもしない、随分とオープンな性格で、気に入った人間ほど苛めたくなるっていう傍迷惑な癖の持ち主だったりする。 「……ありがとうございます」 ケーキを皆で切り分け、それぞれが談笑しながら食べている。 俺も、お祝いメッセージが書いてあるチョコプレートが添えられたケーキを貰い、一人カウンター席で食べている所を、この人に捕まった。 俺の隣に座った三國さんは、何が面白いのか、ニヤニヤしながらジッと俺を横から見てくる。 「………あの、何か…?」 「いやー、奏ちゃんも、とうとう二十歳なんだなぁって思ったら、何だか感慨深いものがあってさ。あ、これ、プレゼント」 そう言って、三國さんはカウンターテーブルの上に、簡易包装された小さな包みを乗せた。 「え?俺に?」 驚く俺に、三國さんは得体の知れない微笑みを浮かべながら頷いた。 「俺からの、ささやかな誕生日プレゼント」 ………なんだろう……嫌な予感しかしないんだけど…。
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