前途多難な初仕事

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『三ヶ月』の答えを聞いた月山薫の表情が微妙なものに変わり、「三ヶ月もかよ…」と、小さな声で呟いた 「最初に聞いとくが、『仕事』なんだよな?それ」 探るような月山薫の目に、思わずハテナマークを浮かべる。 『仕事』以外に、何があるんだろう。 娯楽で曲を作ってるつもりはない。 最近、よく変なこと聞いてくるな…。 「当たり前だろ。他にどんな理由があるんだよ」 「……ならいい」 納得したのか、脱力するように月山薫が息を吐く。 そして、無言で呆れたような目を向けてきた。 「?なんだよ。なんか付いてるか?」 「……………なんで、こんな馬鹿ザルに…てんだ、俺は……」 嘆くように何かを呟いている月山薫。 何を言っているのかは聞き取れなかったけど、『馬鹿ザル』は、しっかり聞こえた。 「馬鹿ザルって言うな」 「うっせえ、黙れ阿呆ザル」 鮮やかなまでにスパンと切り返され、ついでとばかりに、頭上にチョップを食らった。 なんだよ、なんで俺がチョップされなきゃいけないんだよ、くっそー…。
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