冷徹貴公子は嫌な奴

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「そこまでにしておきなよ、三國」 悪ふざけをする三國さんを戒めたのは、カウンターの中にいる村沢さんだった。 性格と行動に難ありな月山薫と三國さんの二人を扱えるのは、きっとこの人しかいないと思う。 三人は友人で、月山薫に言わせれば、『腐れ縁』な、仲らしい。 普段、優しくて包容力のある、お兄さんみたいなこの人が、実は怒らせたら一番怖いというのは、俺も二人もよく知っている。 「あんまり度がすぎると、後で殺されるよ、月山に」 そう……。 この二人だけが、俺と月山の関係を知っている。 「えー?普通にお祝いしてるだけなのに?心外だなぁー」 そう言いながらも、さして気にもしていない様子の三國さんに、村沢さんは呆れた顔をする。 「そんなこと言って、いつも痛い目にあってるくせに、懲りないな」 「だって、当の本人は、あそこで美女と戯れてるしー」 そう言いながら、三國さんは、少し離れた席で、女性客達と楽しそうに談笑する月山薫を顎で指した。 「…………」 俺と付き合うようになってから、月山薫は少し変わった。 以前だったら、あんな風に女性客と話したりなんかしなかった。
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