無自覚な罪作り

4/57
前へ
/550ページ
次へ
「本当に…君は……」 そう呟いた成瀬さんは、ふわりと甘くて優しい微笑みを浮かべた。 「君には、いつも驚かされてばかりだな」 そんな優しい成瀬さんの視線と微笑みに、ホッと安心した。 良かった……怒らせなくて…。 そんな安堵から、成瀬さんに釣られるようにして、俺も笑顔が浮かべる。 もしかしたら、怒らせてしまうかも、と不安だった。 だって、デリケートな問題だ。 あれこれ手を出されるのを嫌がる人だって、いると思うし。 だから、成瀬さんの反応に安心したし、すごく嬉しかった。 自分の考えを……思いを受け入れてもらえたんだって。 「だが、無理はするな?君に、身体を壊してまで、頑張っては欲しくない」 心配そうな顔をする成瀬さんに、心配いらないとばかりに笑ってみせる。 「はい。自己管理しながら頑張ります」 身体は弱くない。 体力がある訳じゃないけど、病気にはならないし、倒れるなんて経験、生きてきた人生の中で一度もない。 「こう見えて、頑丈なんで」 そう言って胸を叩くと、そんな俺を見つめながら、成瀬さんは柔らかく笑った。
/550ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3859人が本棚に入れています
本棚に追加