無自覚な罪作り

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*無自覚な罪作り・2* 成瀬さんの許可も得て、怒涛の作曲生活が始まった。 大学の勉強、演奏会のリハーサル、それ以外の時間は、殆ど作曲に費やした。 それこそ、食事する時間も、寝る間も惜しんで、だ。 そんな寝不足な俺の必需品は、ブラックコーヒーと栄養ドリンク。 まるで、魔法アイテムのような存在だ。 どこのおっさんだって感じだけど、これがなかったら乗り切れない。 それでも、作曲に没頭するのは楽しかった。 身体的にはキツくても、精神的には満たされているから、気力とアイテムでなんとか乗り切れる。 目の下に出来たクマはいただけないけど、それ以外は、至って健康。 ただ辛いのは、何もない時間だ。 電車の中、休憩時間、これといって何もする事がない時は、強烈な睡魔が襲ってくる。 寝られる場所にいる時はいいけど、そうじゃない時の辛さは、まるで拷問だ。 そんな事もあって、最近はHiding placeにも行けてないし、月山薫と会う時間も極端に減っている。 何が一番辛いって、俺にとっては、それが一番辛い……。 自分で言い出した事だから、寂しいなんて音を上げる訳にもいかない。
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