無自覚な罪作り

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「あ、あの?」 「あまり寝ていないんじゃないか?目の下のクマもそうだが、目が充血しているぞ?」 近過ぎる距離に慌てる俺に、心配そうな表情を向けてくる。 息がかかる程近くにある綺麗すぎる顔に、自然と心臓が跳ね上がった。 この距離は、ヤバい。 この人の、こういう行動って、やっぱり天然だなって思う。 「作曲で、無理をさせているんじゃないのか?」 「だ、大丈夫ですよ。徹夜なんて、作曲じゃなくても、学校の勉強とかでもよくやりますし。見た目ほど、疲れてませんから」 俺の説明に、成瀬さんは納得していなさそうな表情を浮かべながらも、「そうか?」と、探るように聞いてきた。 「本当ですって。大丈夫です。心配しないで下さい」 精一杯の笑顔を見せると、次に成瀬さんは、俺の腕を掴み上げる。 「前よりも痩せているように見えるが、ちゃんと食べているのか?」 「た、食べてますよ。栄養摂取はしてますから」 と言いつつも、後ろめたさから目が泳ぐ。 栄養摂取はしてる。 食べるというよりは、飲んでるって言い方のほうが正しいけど……。 そんな誤魔化しが見抜かれているのか、成瀬さんの疑惑の眼差しは険しい。
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