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「…成瀬さんは、好意でくれたんだと思う」
ただ、天然なだけで。
「普通、顔色悪いなら飯だろ」
「まあ、食事にも誘われたんだけどさ」
「は?」
突然の不機嫌そうな声に、逆に、「え?」と返すと、月山薫の眉間にシワが寄った。
なんで?
なんで、いきなり不機嫌?
俺、怒らせるような事、言ったか?
「なんで、あいつがお前を食事になんて誘うんだよ」
「ちゃんと食べるって言ったのを、信じてもらえなかったから?」
そんな俺の答えを聞いて、月山薫は眉を顰めた。
「………絶対、行くなよ」
釘を刺すような月山薫の言葉に、思った疑問をそのまま口にする。
「なんで?」
「なんでだぁ?お前、行きたいってのかよ。あいつと?二人で?」
益々、機嫌の悪くなる月山薫に、訳が分からなくて戸惑う。
「別に、行きたいって訳じゃないけど、なんでそんなに『行くな』って言うわけ?」
「…………お前、それマジで言ってんのか?」
どういう訳か、俺の戸惑いが伝染したように、月山薫も、顔に戸惑いを浮かべながら俺をジロジロと見てくる。
「本気…だけど?」
恐る恐る答えると、項垂れるようにして、月山薫が盛大に息を吐いた。
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