無自覚な罪作り

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そして、抓っている頬をもぎ取るんじゃないかと思うくらいの力で、引っ張りながら指を離した。 「いーーーっっつ!!!!」 酷い痛みに、頬を押さえながら蹲る。 そんな俺を、鼻で笑って見下ろした月山薫は、突然、テーブルの上のケーキを黙々と食べ始めた。 「……つ、月山?」 あれ? ケーキ、苦手だったんじゃなかったっけ? ていうか、一個食べるだけで、胸焼けするって言ってたくせに。 勢い良くケーキを食べていく月山薫を、呆然と見つめていたが、ハッと我に返った。 「お、俺のケーキ!!」 「……うっせえ。てめえは食うな」 そう言いながら、苦手なケーキを次々と手に取っていく。 「はぁ!?意味分かんねー!俺が貰ったケーキだろ!!」 慌てて手を伸ばせば、物凄い勢いで叩き落とされた。 そして、人を射殺しそうな凶悪なガンを飛ばされる。 「………っ!」 こいつ、本気だ……。 本気で、全部食べるつもりだ…。 なんか、よく分かんないけど、俺に、本気で食べさせないつもりだ。 手を出そうもんなら、本気で殺されそうなオーラに、下手に手が出せない。
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