無自覚な罪作り

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仕事を手伝うつもりが、なんの罰なのか、公衆の面前で男同士の膝枕って……。 いや、寝てる成瀬さんはいいよ。 恥ずかしい思いをするのは、起きてなきゃいけない、この俺一人なんだから…。 本当、この人って天然だ……。 そんな事まで深く考えてなかったんだろう。 おまけに、これは仕事じゃないし。 溜息をつきたくても、起こしてしまいそうで、それも出来ない。 もう一度、寝顔を見つめると、その顔の造りの綺麗さに思わず嘆息する。 これだけ美形で、あの腕前なら、そりゃ『ピアノの貴公子』なんて持て囃されもするだろう。 若干、人とのコミュニケーションに難有りだけど…。 そこが解消されたら、どんなに凄い演奏になるだろう。 本当に、勿体無いと思う。 いや、演奏だけじゃなくて、人に誤解されなくて済むし、もっと円滑な人付き合いが出来るだろうに…。 いや……もう一人いたな、そんな奴が。 ふと、月山薫を思い出す。 あいつも、かなりな美形だし、ピアノの腕前も凄い。 まあ、あの性格で、かなり凄みがあるし、近寄り難いオーラを醸し出してるけど。 けど、あいつの場合は、ちゃんと抑えるところは抑えてるし、コミュニケーションが下手な訳じゃない。
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