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「やめて下さい…恥ずかし過ぎますから…」
きっと、顔は真っ赤だ。
本当、こういう天然発言はやめて欲しい。
「そうか?綺麗なものを綺麗と言うのは、自然な事だと思うが?」
「だから…」
そういう天然発言、恥ずかしいんだってば!!
クスクスと笑う成瀬さんに、赤い顔のままキッと睨み付ける。
「からかってますね」
「からかってなんかいないさ。君のそういうところは、とても愛らしいと思う」
「~~~~っ!!!!」
完全にからかってるし!
ていうか、『愛らしい』って、小動物扱いかよ、俺。
「もう少しで三十分ですよ。起きなくていいんですか?」
刺々しい声で時間を告げると、成瀬さんは小さく笑いながら上体を起こした。
「お陰様で、随分と身体が楽になった。ありがとう」
「……どういたしまして」
素直に礼を言われて、憮然としながらも答える。
ベンチから立ち上がる成瀬さんに続いて、俺も腰を上げた。
ずっと身体を固めていたから、もうバッキバキだ。
「駅まで一緒だろう?行こうか」
優しい笑顔で振り返る成瀬さんに、「はい」と返事をして、二人して歩き出す。
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