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「まさか、これ…」
「え?お酒だよ」
やっぱり……。
「俺、お酒は、ちょっと…」
「え?なんで?まさか飲めないの?」
いやいや、昨日まで未成年だったのに、飲めるとか飲めないとか分かる訳ないだろ。
「……飲んだ事ないんで」
そう断ると、三國さんの目が輝いた。
……絶対、そういう反応すると思った。
「美味しいよー。騙されたと思って、飲んでみなよ」
この人相手だと、確実に騙されそうな気がするのは、俺だけだろうか…。
この人の思惑が別にあるような気がしてならない。
「そうですね…少しずつ……飲みますから…」
そんなに、待ち構えるようにして見ないで下さい…。
『さあ、飲め』と言わんばかりに、嘘くさい笑顔で、三國さんがジッと見つめて、無言のプレッシャーを掛けてくる。
これは、飲むまで解放されないパターンだろうか…。
まあ、いざとなったら、村沢さんがいるし、月山薫もいるから、この人の好き勝手にはされないだろう……多分。
一口だけ。
一口だけ飲んで、納得してもらって、それで解放してもらおう。
目の前に置かれたグラスを手に取り、恐る恐る口を付けて、一口だけ飲んでみた。
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