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耳かきの、使い方のコツみたいなものを掴んだような気がする。
今度は、月山薫も文句は言ってこない。
取り終えて、最後に軽く息を吹き掛けた時だった。
「……!」
ビクリと月山薫の身体が、小さく震えた。
あ、もしかして…。
「何?あんた、もしかして耳が弱いの?」
「……うっせぇな」
どうやら図星だったらしく、月山薫の頬が、やや薄っすらと赤くなっている。
うわ、月山薫の弱点、見付けちゃったよ!
勝手に、月山薫に対して『無敵』なんてイメージを持っていた俺は、思わぬヤツの弱点に浮かれた。
調子に乗って、もう一度息を吹き掛けると、ビクッと肩を震わせた月山薫に、ジロリと横目で睨まれた。
それでもニヤニヤと笑っていると、身体を起こした月山薫に、グイッと引き寄せられて抱き込まれてしまった。
そして、頭を押さえ込まれる。
「ちょっ!暴力反対!」
首を締められると思い、ジタバタ暴れる俺の耳に、月山薫は唇を寄せてきた。
「知らねえのか?耳でも感じるって」
「っ…!」
息を吹き掛けるようにして、耳元で美声で囁かれ、ぞくりと身体が震えた。
何……今の…?
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