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そんな俺の様子を眺めつつ、月山薫は、耳に唇を寄せたまま小さく笑う。
そんな笑いの空気にさえ、意図せず身体が反応した。
「月山、やだっ…」
「何?お前だって、耳弱いんじゃねえの?」
この状況を楽しむ意地悪な声に、堪らなくゾクゾクしてくる。
ヤツの身体を押し返そうとするけど、手に力が入らない。
「これに懲りたら、大人をからかうんじゃねえよ。分かったか?」
「んっ…」
震えながらも、慌てて何度も頷く。
もう二度としない!
悪ノリしません!
「それと、俺以外の奴に、二度と膝枕なんざすんな」
「……っ、なんで?」
なんで、ここで膝枕?
膝枕、いま関係なくない?
そんな俺の答えが気に入らなかったのか、月山薫は、優しく耳に息を吹き掛けてきた。
「……んっ」
「返事は?」
必死に何度も頷くと、ようやく解放してもらえた。
「忘れんじゃねえぞ?」
へたりながらも、意地悪で不敵な笑みを浮かべる月山薫を、耳を押さえながらキッと睨み上げる。
「せ、セクハラ!エロおやじ!」
「阿呆。セクハラは恋人には当てはまらねえよ、馬鹿ザル」
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