無自覚な罪作り

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*無自覚な罪作り・8* 「移動?場所を変えるって事ですか?」 俺の質問に、成瀬さんは頷いた。 「ここでリハーサルしている事が、マスコミに嗅ぎつけられたようだ。済まないが、次のリハーサルからは、別の場所でやろうと思う」 リハーサルが終わり、いつものようにその場で解散かと思っていたら、成瀬さんから、リハーサル場所の移動を告げられた。 この演奏会は、成瀬さんとしては公にはしたくないから、色々と気を配っていたはずなのに、やっぱり有名人は目立つのか、マスコミ関係が、ここでリハーサルをしている事を目敏く見付けたようだ。 何のリハーサルかまではバレていないらしいけど、これ以上、深く詮索をされたら、成瀬さんの家族の事や、生みの親であるお母さんの事が明るみに出てしまうかもしれない。 それを警戒しての、リハーサル場所の移動なんだろうけど…。 「は?別に、ここでいいだろ。何でわざわざ移動するんだよ、面倒くせー」 案の定、何も知らない北川さんは、あからさまに嫌がっている。 「次の場所も見付けてある。それに、ここの予約は全てキャンセルした後だ」 淡々と説明する成瀬さんに、北川さんの眉間にシワが寄る。
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