無自覚な罪作り

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「さあ…?意味があるんじゃないの?成瀬さん的には」 これが限界。 何も言えないんじゃ、こう言うしかない。 『………ちゃんと聞いとけよ、そういう事は』 苛々している月山薫の口調に、正直、心苦しい。 言ってしまいたいけど、自分の事じゃないし、凄く繊細で複雑な事柄に、いくら恋人とはいえ、軽々しく言える訳がない。 『言わない』という、成瀬さんとの約束もある。 「ごめん…」 色んな意味で、謝罪の言葉を口にすれば、電話越しに溜息が聞こえてきた。 『……帰ったら…いや、帰る時は連絡しろ。何かあっても、連絡しろ。いいな』 子供の、お使いか! なんてツッコミたかったけど、月山薫の機嫌の悪い声と、有無言わせない絶対的な命令に、何も言い返せなかった。 「……うん、わかった」 この時……。 月山薫の言葉を…。 気持ちを……。 もっと真剣に受け止めていればよかった……。
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