無自覚な罪作り

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*無自覚な罪作り・10* 環境が良い……。 確かに、すっごく良いと思う。 空気も美味しいし、騒音も聞こえない。 聞こえてくる鳥の鳴き声に、長閑な風景…。 予想を遥か上にいく、目の前に広がる田舎風景を、呆然と眺めてしまった。 バスなんて、一時間に一本だし、タクシーなんかも見当たらない。 駅からの移動手段が、一時間に一本のバスだけっていう、なんとも心許ない状況……。 乗る時間のタイミングを外したら、万事休すだ。 そして、人が住んでいるのか心配になるくらい、誰ともすれ違わない。 世界に一人ぼっちって、きっとこんな感じなんだろうな。 なんて、くだらない考えが浮かんでくるぐらい、誰とも遭遇しない…。 これだけ田舎なら、確かにマスコミに気付かれないかもしれないし、もし気付かれて後をつけられたとしても、直ぐに分かりそうだ。 だからって、これは………。 果てしなく続いている道を歩きながら、途方に暮れる。 バス停沿いを歩きながら、目的地まで歩いている真っ最中だ。 ここまで移動手段が乏しいなら、事前に教えておいて欲しかった……。 いや、事前に下調べしておくんだった…。
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