無自覚な罪作り

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なんでも、これから友人と飲み会があるらしく、帰りのバスの時刻が迫っているんだとか……。 まあ、一本逃したら、次は一時間後だから、気持ちも分からないでもない。 けど、その理由が飲み会って……。 プライベートな事に、とやかく言うつもりも権利もないけど、この最悪なリハーサル内容を、このままにして帰るってどうなんだ? いや、北川さんにしてみれば、『こんな不便な場所にあるなんて聞いてない』って事なんだろうけど、いくらなんでも、仕事に対する志とかないんだろうか……。 プライベートを犠牲にしろ、とは言わないけど、せめて形にしてからにして欲しい……。 タクシー会社を調べるっていう手段だって、この施設なら出来るだろうし、ここの人に言って、呼んでもらう事だって出来る筈だ。 そんな俺の提案を、北川さんは、あれこれと理由をつけて断った。 『面倒臭い』、『早く帰りたい』、『ダルい』といった本心がだだ漏れだ……。 当然、成瀬さんは猛反対。 『遅れた分だけ、延長してやるべきだ』なんて、それはそれで問題発言をしてきた。 その、リハーサルに対する姿勢は良いと思うけど、他の人にも、都合ってものがあるだろうに…。
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