3859人が本棚に入れています
本棚に追加
そんなの嫌だ。
絶対、泣き喚きながら探す。
見付かるまで、探す。
両手で頬を叩いて、気合いを入れ直した。
よし!
絶対、見つけるぞ!
「そんな大切な物なら、尚更、見付けないと。諦めるなんて、そんなの駄目です」
言いながら、場所を移動する。
「いや、もうこれ以上は……これだけ探して見付からないなら、諦めもつく」
「ここまできて、諦めるなんてカッコ悪いこと言わないで下さい。どうせなら、見付けて、バシッとカッコ良く決めましょう」
それらしき物に手を伸ばしては、また川の中に戻す。
この辺なのは、間違いないと思うんだけとなぁ。
「………どうして、君は…そんなにも人の為に動けるんだ?」
不意に静かな声で問われて、身体を起こす。
そこには、真剣な眼差しの成瀬さんが立っていて、ジッと俺を見つめていた。
「え?どうしてって………………さあ?」
「さあ?」
首を傾げると、そんな答えが返ってくるとは思っていなかったのか、成瀬さんは間の抜けた声で、同じ事をオウム返ししてきた。
「いや、だって、深く考えてないっていうか……普通、困ってる人がいたら、助けませんか?人の為に動いてる感覚とか、無いっていうか……それが当たり前…だと思うから?」
最初のコメントを投稿しよう!