冷徹貴公子は嫌な奴

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「ちょっ、薫?目が怖いよ?冗談キツいよ?ねえ!?」 「誰が冗談っつった?」 「暴力反対!!」 「待ちやがれ!この変態野郎!」 逃げ出した三國さんを、月山薫が追い掛け始めた。 そんな様子を眺めながら、他の客が笑っている。 なにやってんだか、あの二人。 呆れながら苦笑していると、スッと目の前にあったグラスが持ち上がった。 驚いて見ると、カウンターの中から、村沢さんがグラスを回収している。 「カクテルとか甘い酒は、口当たりが良い分、ついつい飲み過ぎちゃうんだよ。味のわりにはアルコール度が高いし。気がつくとフラフラだったなんて事も、よくあるからね。飲み過ぎないよう、注意しなさい」 優しい口調で説明してくれた村沢さんが、冷たい目で、逃げ回っている三國さんを捉える。 「特に、ああいう信頼性ゼロな奴の前では、絶対に飲まない事。いいね?」 にっこり注意され、「はい…」と、反省しながら返す。 「それと、そっちのゴミも捨てておくから」 言われて見れば、先ほど三國さんから貰った誕生日プレゼントの事だと分かった。 ………でも、必要になるなら、持ってた方がいいのかな? 折角……誕生日プレゼントでくれたんだし…。
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