無自覚な罪作り

53/57
前へ
/550ページ
次へ
「見つかって、良かったですね。諦めなくてよかったでしょ?」 「……あぁ」 ゆっくりと、花びらが開いていくように、成瀬さんは綺麗な微笑みを浮かべた。 「本当に…良かった……君の言う通りだった」 「ほら、見付けて、ビシッとカッコ良く決まっ…うわっ!!?」 調子に乗りながら、一歩、成瀬さんの方へと踏み出した時、川底の石に足を取られて、バランスを大きく崩した。 そして、もう………後は想像通り、無様に転んだ…。 「…………」 「…………」 うわー………カッコわるー…。 両手、両膝を着いた体勢のまま、自分のカッコ悪さに固まる。 「…………ふっ…!」 え? 目の前の出来事に、目を見張る。 成瀬さんが……。 あの冷静沈着な成瀬さんが、お腹を抱えて大笑いしてる…。 ていうか、大爆笑だ。 あまりにも楽しそうに、おかしそうに笑うもんだから…。 「……ははっ」 なんだか面白くなってきて、釣られるように、俺も大爆笑し出した。 「……俺…だっさ!」 「カッコ良く……あれで…!」 「めっちゃくちゃカッコ悪いし、俺…!」 「俺も、それは…同感だ…!」
/550ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3859人が本棚に入れています
本棚に追加