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でも、あり得ないって聞き流してた……。
こういう意味での、『気を付けろ』だとも思ってなかった。
「……俺、男だし……成瀬さんが、そんな風に俺を見てるなんて、思ってなくて…」
「は?じゃあ、俺はどうなるんだよ。俺の立場は?お前にとっての俺は、どんな存在なんだよ。ふざけんなよ!!」
「違う、そういう意味じゃなくて…」
「そういう意味だろうが!なんで、お前はそんな風に周りが見えてねえんだ!?ワザとか!?そうやって周りを振り回して、楽しんでんのかよ!」
「そんな、振り回すなんて…」
「振り回してんだろうがよ!現に!!」
畳み掛けるようにして怒鳴られ、何も言えなくなる。
何を、どう言えば、月山薫は納得するんだろう。
許してもらえるんだろう。
考えても分からなくて、声が出なくなる。
そんな、黙り込んだ俺の態度が気に入らないのか、月山薫は苛立たしそうに舌打ちをした。
「ピアノが弾けたら…」
押し殺した月山薫の声に、ピクリと肩が震える。
「ピアノが弾ける男なら、誰でもいいんじゃねえの……お前」
…………は?
酷く胸が痛んで、ショックで頭も心も麻痺したように機能しない。
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