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「…なに……それ…」
小さな掠れた声が、やけに車内に響いた。
「……そんな風に……思ってたんだ…」
言葉と一緒に、涙が零れ落ちる。
「そんな風に……俺の事……」
悲しくて、悔しくて、言葉では言い表せないくらいに胸が痛い。
顔が、くしゃりと泣き顔に歪むのが自分でも分かった
月山薫への想いを……この想いを、他の誰でもない月山薫本人に疑われるなんて…。
「今日の事は…確かに俺が悪いよ……本当にごめん……でも、だからって、そんな……」
そんな風に疑うなんて…。
涙でボヤける視界のまま、キッと月山薫を見据える。
「あんただって…!俺って、あんたにとって、何!?俺、そんなに軽く見えんの?そんな奴に思ってんのか?」
「………逆ギレかよ…俺を非難して、そうやって自分を正当化すんのか。くっだらねえ」
怠そうに、馬鹿にしたように吐き捨てる月山薫に、酷く傷付きながらも、ムカッときた。
「だって…だって、そうじゃんか!なんでいつも肝心な事とか言ってくんないわけ?どうして、いつも、一番肝心な事は、他の誰かから聞かされるんだよ!結局、あんたは、俺の事なんて信用してないんだろ?だから、何も言ってくれないし、俺の気持ちを……そうやって疑うんだ…」
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