冷徹貴公子は嫌な奴

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*冷徹貴公子は嫌な奴・2* そろそろ解散しようか、という時だった。 店のドアが開き、入って来た一人の男性客に、他の女性客達が色めき立った。 中には、男性客も驚いた表情を浮かべている人もいる。 何だろうと思いながら見ていると、やけに顔立ちの整った男の人がこちらの方へと歩いて来る。 背筋の伸びた姿勢の良い、綺麗な歩き姿。 そして、醸し出す雰囲気が、まるで何処かの国の王子のような気高い気品を、周囲に与える。 あれ? この顔、何処かで見たような……。 不思議に思いながら、その人の顔を凝視していると、つい先週見ていたニュースを思い出した。 あ、この人……。 「……腕の良いピアニストがいると聞いて来てみれば…まさか、お前の事じゃないだろうな?」 俺達の目の前まで来たと思ったら、酷く機嫌の悪そうな表情で、そんな事を言う。 「……そのまさかだったら、どうだってんだ?」 「え?」 驚いて振り向くと、これまた不機嫌そうな表情の月山薫が、俺の隣の席で男の人を睨み上げていた。 あれ? もしかして、知り合い? 頭の上に沢山のハテナマークを飛ばしながら、月山薫と男の人とを見比べる。
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