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*絡まる感情・4*
携帯を睨むように見つめて、溜息と共に放り投げる。
そんな動作を、何度繰り返しただろう。
思った通り、月山薫と喧嘩した日の着信とメールの数は、それこそ山のように来ていた。
留守番メッセージも沢山入っていて、最初は普通に入っていたメッセージも、途中からはイライラしたような声に変わり、最後の方は、本気で心配している声が入っていた。
『今、何処だよ。なんかあったのか?……連絡してくれ』
心配と不安から、月山薫の声が少し震えているのが分かった。
それを聞いて、あいつをどれだけ傷付けたのかを再確認した。
こんなにも、心配してくれたのに……。
車を飛ばして駆け付けた月山薫が目にした光景を思うと、申し訳なくて胸が苦しくなる。
それでも…。
『ピアノが弾ける男なら、誰でもいいんじゃねえの……お前』
この言葉を思い出す度、悲しさと苦しさで胸が痛い。
電話をしようと思う度、この言葉が頭に浮かんでくる。
すると、自分があいつに、何をどう話せばいいのか分からなくなって、結局、電話できないままに終わる。
さっきから、その繰り返しだ。
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