冷徹貴公子は嫌な奴

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し、素人…。 そりゃ、確かに、世界的ピアニストから見たら、俺なんてど素人だろうさ。 なに言ったって、痛くも痒くもないだろうさ。 けど!!!! 「あいつ、マジでムカつく!!!!」 何だよ、あれ!!!! 何様だよ!! 何が、ピアノの貴公子だ!!! すっげー嫌な奴じゃんか!!!! どこが貴公子なんだよ!! 「ピアノ弾く奴って、何で、あんな奴しかいない訳!?どいつもこいつも、ほんっっとロクな奴がいねーし!!!!」 「おい」 「奏ちゃん?」 思わず叫ぶと、青筋が浮いた月山薫と、黒い微笑みを浮かべる三國さんに呼び止められた。 ………………しまった……やらかした。 「どういう意味か…」 「じっくり聞かせてもらおうかなー?」 ……やばい。 「あー………何の事でショウカ…?」 冷や汗を流しながらジリジリと後退すると、カウンターの中にいる村沢さんが、なんとも言えない苦笑を浮かべるのが、目の端に映った。 「ほんと、ムカつく!何様なんだよ、あいつ!」 帰りの車の中。 珍しくお酒を飲まなかった月山薫に、車で送ってもらっている。
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