冷徹貴公子は嫌な奴

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カチンときた。 そこまでして、俺にクラシックを聴くなって? 金を出してでも、阻止したいと? それが、世のため人の為、クラシック音楽の為だと? つまり、そういう事かよ。 「嫌だね。断る」 キッパリ断って、避けて歩き出したところを、肩を掴まれた。 「人が下手に出て頼んでいるのに、その態度はないだろう。本当に躾のなっていない犬だな、君は」 「どこが『下手』だ!!全っ然、頼んでねーし!あと、犬って呼ぶな!」 なんで、こいつらピアニストは、人の事を、サルだの犬だのと動物扱いしてくるんだよ! めちゃくちゃムカつく!! 「このCDを、金だけで評価するアンタに、誰が渡すか!金払えば、解決すると思うな、ダメ社会人!世界的ピアニストだか貴公子だか知らねーけどな、それが人にものを頼む態度か!?あんたのは、下手って言うんじゃなくて、上から目線って言うんだ!ちゃんと覚えとけ、世間知らずピアニスト!!」 一気に捲し立てる俺を、成瀬さんは驚いたようにポカンとした表情で見た。 だって、そうだろ。 父さんの音楽を、金で評価したり、ましてや、俺を金で操ろうなんて、人に対して失礼すぎる。
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