冷徹貴公子は嫌な奴

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いや、だって、ケーキなんて普段食べる事ないし。 チョコケーキの隣にある苺のタルトに手を伸ばす。 「……こっちも美味い!」 どのケーキも美味しくて、夢中で食べていると、向かい側に座る成瀬さんが、クスクスと笑っている事に気が付いた。 うわ……俺、ガッつきすぎたかも…。 ずっと見られていたのかと思うと、何だか気恥ずかしい。 もっと落ち着いて、上品にゆっくり食べればよかった。 「……何、笑ってるんですか?」 気恥ずかしさに、笑う成瀬さんを睨むと、意地の悪い笑みを向けられた。 「君の食べている姿を見るのは、とても面白い。犬を愛でる気持ちとは、きっとこんな感じなんだろうな」 また犬かよ。 どいつもこいつも、人を動物扱いしやがって。 「……犬って呼ばないで下さい」 悔し紛れに、それだけ言うと、何がおかしいのか、成瀬さんはまたクスクスと笑い出す。 なんていうか、その笑う顔は、今まで見たこの人の表情の中で、一番人間らしい……良い表情だなっと思った。 いつも、これくらい表情豊かだったらいいのにな。 そうすれば、もっと魅力的なのに。 成瀬さんの笑顔は、とても綺麗で人を惹きつける。
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