3864人が本棚に入れています
本棚に追加
…………それは、なんか嫌だな。
「すまなかった」
ふと顔を上げると、真剣な表情をした成瀬さんが、真っ直ぐに俺を見ていた。
馬鹿にしたような顔ではなく。
上から目線の顔でもなく。
真摯な、成瀬さんの眼差し。
その眼差しが、俺の目を真っ直ぐに見つめている。
「君に不快な思いをさせて、本当にすまなかった。どうか、許して欲しい」
なんだ……。
この人、言えば伝わるんじゃん。
すっげー嫌な奴って思ってたけど、人の意見に、こうして耳を傾ける事も出来るんだ。
なんだ……やな奴じゃないんだ。
「いえ、俺も色々と生意気な事を言って、すみませんでした」
頭を下げると、成瀬さんはまた驚いた表情をする。
「な、なんで君が謝るんだ?」
「え?だって、態度悪かったじゃないですか、俺」
「……………」
俺の答えに、成瀬さんは呆気にとられた表情で、暫く無言になった。
「え?俺、なんか変な事、言いました?」
その無言に不安になりながら問い掛けると、成瀬さんは柔らかい笑顔を浮かべた。
「………本当に、君は変わっているな」
変わってる…かな?
最初のコメントを投稿しよう!