冷徹貴公子は嫌な奴

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…………それは、なんか嫌だな。 「すまなかった」 ふと顔を上げると、真剣な表情をした成瀬さんが、真っ直ぐに俺を見ていた。 馬鹿にしたような顔ではなく。 上から目線の顔でもなく。 真摯な、成瀬さんの眼差し。 その眼差しが、俺の目を真っ直ぐに見つめている。 「君に不快な思いをさせて、本当にすまなかった。どうか、許して欲しい」 なんだ……。 この人、言えば伝わるんじゃん。 すっげー嫌な奴って思ってたけど、人の意見に、こうして耳を傾ける事も出来るんだ。 なんだ……やな奴じゃないんだ。 「いえ、俺も色々と生意気な事を言って、すみませんでした」 頭を下げると、成瀬さんはまた驚いた表情をする。 「な、なんで君が謝るんだ?」 「え?だって、態度悪かったじゃないですか、俺」 「……………」 俺の答えに、成瀬さんは呆気にとられた表情で、暫く無言になった。 「え?俺、なんか変な事、言いました?」 その無言に不安になりながら問い掛けると、成瀬さんは柔らかい笑顔を浮かべた。 「………本当に、君は変わっているな」 変わってる…かな?
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