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「いや、全然」
すると、月山薫は更に険しい表情になった。
あれ?
何で?
「それじゃ、何か?クラシックに興味もねえ奴が、お前の欲しいCD探しとやらの為にあちこち付き合った挙句、どういう訳か、お前に珈琲とケーキを奢ったって、つまりはそういう事か?」
………あー……やらかしたな、俺…。
普通、付き合ってもらった俺が奢るよな。
「……うん、まあ、そういう事になるけど、それが?」
こうなったら、もう開き直るしかないとばかりに、攻めの姿勢で押し通す。
「そんな下心見え見えな奴と、いつも一緒にいんのか、お前は」
「……下心?」
あらぬ方向に話が進んで、訳が分からなくなる。
下心?
何が?
何処が?
「お前…本気で分かってねえのか?天然か?馬鹿か?馬鹿ザルか!?普通、気付くだろうがよ!ていうか、気付け阿保が!」
いきなり怒鳴られて、面食らう。
は?
何で、俺、怒られてんの?
ポカンとしている俺の顔が、余程頭にきたのか、月山薫はイライラとした表情で俺を睨みつけた。
「お前の恋人は誰だ?俺だろうがよ!そんな奴に横恋慕されてんじゃねえよ!潰すぞ、そいつ!」
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