冷徹貴公子は嫌な奴

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そこで、初めて、月山薫が何に怒っているのかを理解した。 「いや、そいつ…彼女いる…けど……」 「…………」 ……………………。 なんとも言えない、奇妙な間が、二人の間に生まれる。 暫くして、スッと月山薫が離れた。 そして、右手で顔を覆いながら、顔を背ける。 「……悪い……勘違いした」 さっきまでの自分の言動を恥ずかしく思っている様子の月山薫は、それだけ言うと、さっさと奥のピアノ室へと入ってしまった。 …………………びっ。 背中を壁に預けたまま、ズルズルとその場にへたり込む。 びっくりした!! いつもダルダルな、気怠そうな感じで、滅多に感情の起伏を見せない月山薫。 のらりくらりと、本心を殆ど見せない月山薫。 そんな月山薫の情熱的な一面を垣間見て、すごく驚いた。 あんな風に、嫉妬とかするんだ……。 てっきり、月山薫は嫉妬なんてしないと思っていた。 俺が、誰といようが、話そうが、『ふーん。別にいいんじゃねえの』って言うものとばかり思っていた。 それが………。 驚きすぎて、ドキドキと鼓動が煩い。 今、顔なんて絶対に真っ赤だと思う。
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