桜庭奏の正体

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幸せだった……。 でも、それと同時に『怖さ』を知った。 この幸せを……月山薫を失うかもしれないという『怖さ』。 必ず失う訳じゃない。 月山薫を信じていない訳でもない。 でも、自分に自信が持てない。 だから不安になる。 月山薫は、本当に俺なんかでいいんだろうか? 本当は、後悔してるんじゃないか? だから、キス以上の事をしてこないのかも……。 俺の、何処を好きになってくれたんだろう? もっと素敵な、音楽的センスも良い人が現れたら、俺なんていらなくなるかも…。 そんな考えと不安が、ジワジワと俺の心を侵食していく。 人を好きになるのって、もっと単純な事だと思ってた。 両思いになれば、苦しみも切なさも……不安も、消えてしまうものだとばかり思っていた。 でも、違う。 どんどん欲深くなっていく。 醜い自分が浮き彫りにされる。 幼い自分が嫌になる。 気持ちを強く持てない自分が嫌いだ。 情けなさすぎて、マジで凹む……。
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