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「なんで、そんなに深く刺さった訳？普通、そこまで深くは刺さないと思うけど」
尋ねる俺に、父さんは気まずそうに苦笑いをした。
「……いや、本番前で急いでいたのと、こういう場所への花束は、棘の処理がしてあると思って…いや、思い込んでいたんだろうな」
成る程…それで、思い切り掴んだのか。
「それで？カードって、誰から？」
余程、言いにくいのか、父さんはスーッと目線を逸らし、小さく咳払いをひとつした。
「……………母さんだ」
あー……成る程ね…。
最近、分かってきた事。
父さんは、あまり表情に出さない性格だから分かりにくい人だけど、母さんを溺愛している…と思う。
普段は、素っ気ない態度をとっている癖に、こういう細かなところで、それが出てくるんだ。
父さんとは正反対に、母さんは何でもオープンに表に出す人だから分かりやすい。
要するに、二人はラブラブって事だ。
ごちそうさまでした……。
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