桜庭奏の正体

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「それで?君が桜庭征一郎の息子?俺は初耳なんだが?俺の記憶が正しければ、俺達は初対面ではなかったように思うが?」 余程腹に据え兼ねていたのか、早口で畳み掛けられた。 「あー…そうデスネ。初対面じゃなかったですヨネ」 「そういう事を言っているんじゃない。どうして黙っていたのかと聞いているんだ」 ストレートに聞いて欲しい…。 やっぱり、この人の『察しろ精神』、ハンパない。 「だって、聞かなかったから」 「聞くと思うか!?普通!」 普通は聞きませんね…。 「あー、それは…」 「成る程、そういう事か」 「は?」 まだ何も言ってないのに、納得がいったというような表情を浮かべた成瀬さんは、初めて会った時のように、眉間にシワを寄せて睨みつけてくる。 「俺が桜庭征一郎のファンだという事を知って、何も言わずに、陰で月山と笑い者にでもしていたんだろう。お前達の魂胆は分かっている」 ……………いや、飛躍しすぎだし。 どうして、それが笑いに繋がるのかが分からないし。 どんだけ被害者意識が強いんだ、この人。 「いえ、笑ってませんけど」 貴方の推理、外れてます。
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