冷徹貴公子の依頼

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「だから、成瀬さんに頼まれたんだよ。今度、小規模な演奏会をやりたいから、その監修を頼みたいって…」 不機嫌丸出しの月山薫の眼光に、声がフェードアウトしていく。 さっきまでの機嫌の良さが嘘みたいに、今現在は、超がつくほど機嫌が悪い。 ていうか、最悪だ。 「なんで、あいつがお前に頼むんだよ」 「それはさっきも言ったけど、父さんのコンサートで…」 「そんな事、聞いてねえよ。世界的ピアニスト様なんだ、お前じゃなくても、やりたいって奴はいくらでもいんだろ」 それは、そうなんだけど…。 「なんか、あまり公にしたくないみたいでさ……それで、名前が売れてない人材を探してたみたいで…」 「……」 ジロリと鋭い眼差しが、俺を突き刺してくる。 「断れ」 「………は?」 「断れ。そんで、この話は終わりだ」 いきなりの命令口調に、いつものコトながら…………カチンときた。 「なんで?」 「なんで?お前、頭腐ってんじゃねえのか?ここに来た時、お前、あいつに何て言われたよ?それが、お前の父さんのファンってだけで、いきなりそれか?あいつだって、お前が息子ってだけで使おうとしてんだろうがよ」
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