冷徹貴公子の依頼

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「それくらい覚えてるよ。けど、成瀬さんは、息子だからって理由で、俺を仕事相手に選んだりしてない」 「はぁ?お前、あいつの何が分かってんだよ。たった少し話したくらいで、あいつの性格の悪さなんざ、分かんねえだろうが!人の忠告は、素直に聞けってんだ!馬鹿ザル!!」 「忠告?どこが?ただ怒鳴って、人に言う事をきかせようとしてるだけだろ!」 そのまま睨み合っていると、カウンターの中から、村沢さんが止めようと声を掛けてきた。 「二人とも、落ち着いて。何があったのかは知らないけど、店内で喧嘩は止めるんだ」 そんな村沢さんの言葉は、月山薫の耳には少しも入ってはいないらしく、微動だにしないで俺を睨んでくる。 「なんにも分かってねえ、ガキが!」 ガキ……。 ああ、子供って言いたいんだよな? ああ、そうかよ。 人が一番気にしてんのに、はっきり言っちゃうんだな。 くそピアニスト!!!! 月山薫が飲んでいたグラスを掴むと、中のバーボンを一気に口の中へと流し込み。 「……!!!?」 飲もうとする前に、盛大に吹き出した。 舌が痺れて、喉が熱い!! 咳き込む俺の頭に、月山薫のゲンコツが炸裂した。
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