冷徹貴公子の依頼

6/24
前へ
/550ページ
次へ
「ってぇーー!!!!」 「救いようのねえ、クソガキだな、てめえは。飲めもしねえのに、何やってやがる!!」 あまりの痛みに、涙目で頭を押さえながら、キッと月山薫を睨み上げた。 くっそーー!!!! 本当は、颯爽と飲んで、ビシッと決めるつもりだったのに…! 「俺だってな、もう二十歳なんだ!いちいち口出しされるようなガキじゃねーんだよ!自分がどうするかくらい、自分で決められる!ガキ扱いすんな!くそジジイ!」 怒りに任せて突っ走る。 本当、俺の悪い癖だと思う。 それでも、ムカつくものはムカつくし、俺にだって言い分はあるし、ミジンコ並でもプライドだってある。 そんな俺の啖呵は、月山薫の糸をプッツンと切るには十分だった。 「……あぁ、そうかよ。じゃあ、勝手にやりゃいいじゃねえか。俺は忠告したからな。後で泣きを見たって知らねえからな!!」 言うなり月山薫は、懐から取り出した財布から一万円札を取り出すと、それをカウンターテーブルに叩きつけた。 そして、そのまま踵を返して店を出て行こうとする。 「月山!」 「るっせえ!止めんな!」 呼び止めた村沢さんを、月山薫は振り返る事なく進んで行く。
/550ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3859人が本棚に入れています
本棚に追加