冷徹貴公子の依頼

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*冷徹貴公子の依頼・2* 「あぁー……それは…薫が怒るのも当然かなー」 興味津々な顔で、しつこく聞いてくる三國さんに、月山薫との一連のやり取りを話し終えると、三國さんは苦笑いを浮かべて俺を見た。 「確かに、怒らせた俺も悪いと思いますけど、いきなり頭ごなしに『断れ』っていうのも、どうかと思いますけど」 「うーん…まあねー。けど、仕事相手が成瀬じゃねー。仕方ないっていうか、なんていうか…」 三國さんが月山薫の肩を持つのは、当然だと思う。 思うけど、それなら最初から話してくれればいいじゃんか。 何も言ってくれないから、俺だって納得したくても、出来ないんじゃないか。 「……あいつ、成瀬さんと何かあったんですか?」 こういう話は、本人がいない所でするべきじゃないのは分かってる。 分かってるけど、俺としては、ちゃんと聞いておきたい。 「え?薫から、何も聞いてない?」 俺の質問に、三國さんはキョトンと目を丸くして俺を見つめた。 「大学で一緒だったって事しか…」 俺の言葉を聞いて、三國さんの表情が、何かを納得した顔に変わる。 「そっか。それで、こんな事になったのか。知らなかったんじゃ、訳わかんないよねー。いきなりキレられても、は?って感じだよね」
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